「夏休みの自由研究って、親はどこまで手伝えばいいの?」
「子どもに任せたいけど、1人じゃ難しそう…」
そんな悩みを抱えていませんか?
自由研究は子どもの宿題のはずなのに、気づけば親の関与が大きくなってしまいがち。
どこまで手伝っていいものなのか…悩みますよね。
私自身も、子育てをしながら毎年「どう関わるか」を試行錯誤してきました。そして以前は小学校教員として、たくさんの自由研究を見る立場でもありました。
この記事では、「自由研究って親はどこまで手伝っていいの?」「手伝うとしたら、どう手伝えばいい?」と迷う方に向けて、元教員ママの視点からちょうどいい関わり方をお伝えします。
また、親が手伝っているのが丸わかりな自由研究の特徴や、子どもの興味を活かした自由研究テーマの選び方も紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
自由研究、親がやるのはアリ?ナシ?
結論から言うと、親が手伝うのは『アリ』です。
ただし、「どう手伝うか」「どこまで関わるか」には、ちょっとしたコツがあります。
自由研究は、子どもが「調べる・考える・まとめる」という学びのプロセスを体験するための宿題。
でも実際には、テーマ決めの時点でつまずいたり、調べ方が分からなかったり、まとめる段階で「書けない…」と手が止まってしまったりしますよね。
そんなとき、親がサポートしたくなるのは自然なことです。特に低学年では、子どもだけで完結させるのは難しい場面もたくさんあります。
そのため、親がやること自体が悪いわけではありません。
大切なのは、「子どもが主役」になれるように、上手に手助けすることなんです。
元教員が見てきた『親がやったことが丸わかりな自由研究』
子どもが主役になっていない自由研究、つまり、完全に親の手が入っていることが分かる自由研究は、見た目から分かってしまいます。
教員時代、夏休み明けにはたくさんの自由研究を見てきました。
正直なところ、「子どもが自分でがんばったんだな」と感じられるものもあれば、「うん…これは完全に大人の手が入ってるな」と思うものも、ありました。
たとえば、
- 文章がやたらときれいに整っている
- 写真のレイアウトや構成が美しくまとまっている
- 表やグラフが完璧すぎる
- 工作の完成度が非常に高い
もちろん、子どもが頑張って仕上げた結果こうなったのかもしれません。
でも、
子どもの実力を超えて完成度が高すぎる自由研究は、見る側にとっても親の関与がなんとなく伝わってしまうんです。
一方で、こんな自由研究もありました。
- 途中で失敗した様子がそのまま書かれている
- 「もっとこうすればよかった」といった子どもなりのふり返りが書かれている
- 字がところどころ間違っていたり、文章がおかしかったりする
こういった自由研究ほど、子ども自身が一生懸命取り組んだ姿が感じられました。
自由研究は、完璧を目指さなくて大丈夫。
結論や結果が出ていない、途中段階でもいい。
子どもの学びの過程が記されたもの、それが自由研究なんです。
自由研究、親はどこまで手伝っていい?
とはいえ、子どもが一人で自由研究を完成させるのは難しいので、親の関与はある程度必要です。
手を出しすぎると「親の作品」になってしまう。でも、完全に放任するとテーマも決まらず、結局何も進まない…。
その『ちょうどいいバランス』が難しいんですよね。
私自身も子どもたちと自由研究をしてきて、「これは任せてよかったな」「ここはサポートすべきだったな」と感じる場面がたくさんありました。
ここでは、元教員としての視点と、親としての実体験をふまえて、手伝いすぎず、でもちゃんと支えるための関わり方をご紹介します。
どんな自由研究にも共通する2つのサポート
自由研究には、工作、実験や観察、調べ学習、料理など、さまざまな取り組み方があります。
どのテーマでも共通して大切なサポートが2つあります。
① テーマ選びの相談にのる
1つ目は、テーマ選びの相談にのることです。
自由研究は、テーマが決まるまでがいちばん大変。
「何を調べればいいのか分からない…」と手が止まってしまう子も多いです。
そんなときは、
「最近気になってることある?」
「このあいだ星のこと気にしてたね。調べてみるのはどう?」
といった、子どもの興味を引き出す声かけが効果的です。
大人がやらせやすいテーマを選ぶのではなく、「子どもが面白そうと思えるかどうか」がいちばんのポイント。
生活の中で気になったことをテーマにしていけるとよいのですが、それもなかなか難しいのが現実だと思います。
そこで心強いのが、自由研究のネタをまとめたサイトや書籍です。自由研究のテーマ選びについて詳しくはこのあと説明しますね。先に説明を見たい方はこちら
② スケジュール管理を一緒にする
2つ目は、一緒にスケジュールを管理してあげることです。
自由研究は、思った以上に時間がかかります。見通しをもってスケジュールを組むのは、小学生の子どもにはまだまだ難しいので、一緒にやってあげましょう。
「この日ならできそうだね」
「この週は本で調べて、次の週に書いてまとめようか」
というように、だいたいの予定を立てると、子どもは取り組みやすくなります。
管理をするのではなく、見通しを持たせるのがポイント。計画倒れを防ぎ、気持ちにも余裕が生まれます。
工作系|うまくいかないときは『声かけ』でサポート
工作系の自由研究では、手を出したくなる場面がたくさんあります。「ボンドがうまくつかない」「形が崩れた」など、トラブルもつきもの。
でも、ここで親がつい手を出してしまうと、子どもにとっては「やってもらった」という印象が残りやすいです。
そんなときは、
「どうしたらうまくつくかな?」
「違う方法も試してみる?」
と、考える方向に導く声かけが大切。
そして、子どもが自分で「できた」と思えるようにしていきましょう。
安全面でのサポートはもちろん必要ですが、完成させるために手を出すより、『やりきった』と思える経験を大事にしましょう。
調べ学習系|答えを教えるのではなく、一緒に探すスタンスで
図鑑やネットを使って調べるタイプの自由研究では、親が「この本に載ってるよ」「ここを写せばいいんじゃない」など、つい答えを提示しがちです。
でも、それでは「自分で調べた」実感が残りません。
そこで、
「どんな本がよさそう?」
「どんな言葉で検索してみる?」
といった導き役としての声をかけてみましょう。
他にも、視野を広げるきっかけや、考えを深めるきっかけになる声かけも、子どもの学びを深めることができます。
たとえば雲の種類について調べているときだったら、
「そういえば、雲って白かったり黒かったりするけど、なんでだろうね」
「季節によって、見えやすい雲とかあるのかな?」
といったように声をかけてみましょう。
学校の授業での調べ学習と同じで、『情報を渡す』より『一緒に考える』スタンスが、子どもの学びにつながります。
観察・実験系|気づきを引き出す声かけがカギ
観察記録や実験レポートでは、親が答えを言わずに「子どもがどう感じたか、どう気づくか」を見守る姿勢が大切です。
たとえば、
- 「昨日と比べて何がちがうかな?」
- 「どうしてこうなったと思う?」
- 「同じ条件でやってみたらどう?」
といった声かけは、子どもにとって考えるきっかけになります。
結果が出なくてもOK。うまくいかないことも立派な学びです。「やってみた」プロセスを子ども自身が残せるように、言葉で支えるのがポイントです。
まとめ・レポート作成|整えすぎに注意!『子どもの言葉』を大切に
自由研究の「まとめ」や「レポート作成」。ここが、いちばん親の手が入りやすいポイントでもあります。
- 文章を言い換えてキレイに整えてしまう
- レイアウトや構成を大人が考えてしまう
- 「もっとこう書いた方が伝わるよ」と書き直してしまう
見た目は立派でも、それが子どもの言葉でなければ『自分でやった感』は残りません。
大切なのは、子ども自身の言葉で、気づいたこと・感じたことを残すこと。少し不格好でも、それがしっかり伝わってくるレポートは、見る側にとっても、子どもの学びが受け取れるものになります。
親ができるのは、「書いてあげる」ことではなく、「言葉を引き出す」こと。
子どもが「何を書けばいいか分からない…」と手が止まってしまうのは、よくあることです。そんなときは、直接内容を指示するのではなく、ヒントになる問いかけでサポートすることを心がけてみてください。
ヒントになる声かけ例
他にも、こんな声かけが子どもの自由研究を進めるサポートになります。
① 研究のきっかけで手が止まっているとき
「どうしてこのテーマにしたんだっけ?」
「いつこのことに興味を持ったの?」
「○○のときに、“これ気になる!”って言ってたよね?」
② 実験・観察結果のまとめに悩んでいるとき
「やってみて、いちばんびっくりしたのは?」
「予想とちがったことはあった?」
「結果からどんなことがわかった?」
③ 感想・ふり返りが書けないとき
「大変だったこと、楽しかったことは?」
「来年やるなら、どこを変えたい?」
「この研究を見せるとしたら、何を伝えたい?」
自由研究のテーマに迷ったら|おすすめサイト&書籍5選
自由研究は“自由”だからこそ、何をテーマにすればいいのか悩んでしまいますよね。特に「子どもに自分で決めてほしいけど、何も思いつかない…」というとき、ヒントになるのが、自由研究のネタをまとめた特集サイトや書籍です。
ここでは、親子で一緒に探しやすく、子どもが「やってみたい!」と思えるテーマに出会えるサイトや書籍を紹介します。
【サイト】ベネッセ教育情報|自由研究解決サイト
- 学年・ジャンル別で探しやすい
- 実験・観察・工作など幅広く紹介
- テンプレートやまとめ方の例も充実
ベネッセ教育情報の自由研究解決サイトは、「自由研究、何にしよう…」と迷ったときにまずチェックしたい、見やすくて実用的なサイトです。
【サイト】学研キッズネット|自由研究プロジェクト
- ネタ数が多い
- 難易度・学年・ジャンルで絞り込み可能
- 実験・観察・工作・調べ学習などさまざまなジャンルあり
学研キッズネットの自由研究プロジェクトは、「これおもしろそう!」と子どもが自分で選べる楽しさがあります。自由研究の進め方やまとめ方も、子ども向けに分かりやすく掲載されています。
【サイト】Honda Kids|自由研究
- 短い時間で簡単にできるものが中心
- 写真付きで分かりやすい説明
Honda Kidsでも自由研究のネタが探せます。1日でできるような手軽な自由研究が多く紹介されています。たくさんの写真を使い、子どもでも分かりやすいようになっています。
【書籍】おうちで楽しむ科学実験図鑑
- おうちにあるもので手軽にできる実験のアイデアがいっぱい
- 写真とルビ付き解説で、低学年のお子さんも分かりやすい
【書籍】小学生の夏休み自由研究ブック
- 実験・観察・工作・調べ学習のアイデアが80テーマ
- 身近なことをテーマにしていて、子どもも取り組みやすい
まとめ|自由研究は“作品”じゃない、“学びの記録”です
自由研究というと、つい「見た目のきれいさ」や「人と違うすごさ」といった、作品としての完成度に目が向きがちです。
でも、本来の目的はそこではありません。
自由研究は、子どもが
- 「やってみたい」と思ったことに挑戦してみる
- 試行錯誤したり、うまくいかない中で工夫してみる
- 自分のことばでふり返ってみる
そんな学びの過程を、自分なりに記録するものです。
もちろん、仕上がりが整っていれば見やすくはなります。でもそれ以上に大切なのは、その子らしい言葉や伝え方。
教員としてたくさんの自由研究を見てきた経験から言えるのは、完璧じゃなくても、字が少しくずれていたり、言葉がたどたどしくても、「この子が本当に自分でやったんだな」と感じられる研究には、ちゃんと伝わる力があるということ。
自由研究は、評価される“作品”ではなく、子ども自身の成長を記録する“学びの軌跡”です。
完成度よりも、子どもが「自分でやった」と思える体験を。
今年の夏が、そんな自由研究になりますように。