音読の宿題を嫌がって、なかなか取りかかれない。
やっと読み始めたと思ったら、何を言っているのか分からないほど雑……。
そんな子どもの様子に、ついイライラしてしまうこと、ありませんか?
わが家の子どもたちも、音読は「めんどくさい」と言いながら、いやいや取り組んでいる日がよくあります。
小学校の教員をしていたときも、音読の宿題の提出率は低めでした。
実際、「実はやってないんです」「読んだフリだけしてます」なんて子が意外と多くて、毎日ちゃんと取り組めている子は少なかった印象です。
音読の宿題に頭を悩ませているご家庭は、実はとても多いんですね。
この記事では、
- 子どもが音読を嫌がる理由
- 音読の効果と、宿題に出す本当の理由
- 音読の宿題がスムーズになるちょっとした工夫
について、元教員で3児ママの視点から、わかりやすくお伝えしていきます。
今日の音読タイムが、ちょっとだけ楽しく、前向きな時間になりますように。
「とにかく何か工夫が知りたい!」という方は、こちらからどうぞ
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音読の宿題を嫌がる3つの理由|親が知っておきたい子どもの本音とは?
音読の宿題を嫌がる子は、本当に多いです。わが家でもそうですが、教員をしていたときも、「音読めんどくさい~」なんて声をよく聞きました。
たしかに毎日のように出る宿題ですし、読むこと自体に苦手意識がある子もいます。ちょっとしたことがイヤにつながってしまう子もいるんですよね。
まずは、音読の宿題を嫌がる理由を3つに分けて、見ていきましょう。
理由①:読むのが苦手・自信がない
「読んで」と声をかけても、なかなか始めようとしない。
やっと口に出して読んでも、つっかえたり、小さな声だったり、妙にゆっくりだったり…。
そんな様子のお子さんは、もしかすると「読むのがちょっと苦手」なタイプかもしれません。
漢字が難しかったり、文をスムーズに読むのがむずかしかったりすると、
自信がなくて、なかなか声が出にくくなってしまうんですよね。
さらに、読み間違いをその場で指摘されたり、「もう一回!」と何度も繰り返しを求められると、
「また怒られる…」と感じてしまって、ますます気が重くなってしまう——
そんな悪循環にハマってしまうこともあるのです。
理由②:単調でつまらない・飽きてしまう
毎日のように、同じ文章を読む音読の宿題。
子どもからすると「またここ〜?」と、飽きてしまう気持ちになるのも自然なことです。
文章が長くなればなるほど、さらにしんどさを感じやすくなります。
- 「読んでもおもしろくない」
- 「ただ読むだけって意味あるの?」
- 「親がちゃんと聞いてるのかも分からないし…」
子どもたちから、こんな本音が聞こえてくることもありました。
単調な繰り返しや、「なんのためにやってるのか分からない」感覚は、
“やる気”のブレーキになってしまうんですよね。
理由③:評価されるプレッシャー・親のチェックがつらい
音読は、「親に聞いてもらう」ことが前提の宿題。
でもこれって、子どもにとってはちょっぴりプレッシャーなんですよね。
「もっと大きな声でって言われた」
「ちゃんと読んでるつもりなのに、◎をつけてくれない」
「何度読んでも注意されちゃう・・・」
こうした声が、私の教室でも実際にありました。
学校によっては、音読カードに「大きな声で読めたか」「間違えずに読めたか」などを、おうちの方が評価して記入する形式になっているところも多いと思います。
もちろん、読んだことを確認したり、できたことを褒めてあげたりするのはとても大切です。
でもそれが、「ちゃんと読めるようにしてあげなきゃ」という親のプレッシャーになり、結果的に、子どもの“やらされているだけ”という感覚が強くなってしまうことも。
毎回しっかり評価しようとするほど、親も子もどこか苦しくなってしまう。いつのまにか、そんな音読タイムになってしまっているご家庭もあるかもしれません。
音読は意味ある?教育的な効果をわかりやすく解説
「音読って、本当に意味あるのかな?」
「嫌がるくらいなら、無理にやらせなくてもいいのでは…?」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
実は、教員だった私も、音読の宿題には何度も悩みました。
子どもにも親にも負担になるのに、毎日出す意味が本当にあるのか——そう感じたこともあります。
だからこそ、教員時代からその効果を丁寧に調べてきました。
今回あらためて情報を整理しながら、音読が子どもにどんな力を育ててくれるのかを、わかりやすくお伝えしていきますね。
学力の土台づくりになる
音読を続けることで、次のような力が自然と育っていきます。
読む力(読解力)
→ 言葉をまとまりで読む力がつき、文の切れ目や意味もつかめるようになる
言葉の力(語彙力)
→ 知らなかった言葉や表現にふれることで、言葉の引き出しがふえていく
やりぬく力(続ける力)
→ 毎日の習慣として取り組む中で、「やればできる」という自信が育つ
音読をするとき、子どもは自然と「目・口・耳・頭」を同時に使っています。この一連の働きが、学習に必要な集中力や理解力を育てる“土台”となるんです。
また、音読を重ねることで「言葉をまとまりで読む力」も養われます。
たとえば、この言葉を見てください。
「ありとがう」
一瞬「ありがとう」だと思いませんでしたか?
でも、よく見ると、「り」と「と」の順番が逆なんです。
このように、私たちは文字を一文字ずつ読むのではなく、言葉を“まとまり”としてとらえ、意味とつなげながら読んでいるのです。
音読を続けることで、こうした「言葉のかたまり」をとらえる力が自然と育ち、やがてスムーズに読む力につながっていきます。
脳科学の面から見ても効果あり
近年、脳科学の研究でも音読の効果が注目されています。
ある脳科学者の先生によると、音読をすると**脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)**という部分が活発に働くそうです。
前頭前野は、集中力・注意力・感情のコントロールなどに深く関わる場所。
つまり、音読をくり返すことで、集中しやすい脳の状態がつくられていくのです。
参考:プレジデントオンライン「音読で“脳が劇的に活性化する”理由」(2024年)
私も教員時代、業間休みや昼休み明け、午後の最初の授業で、よく音読を取り入れていました。
それは、子どもたちの気持ちの切り替えをうながし、遊びモードから学びモードへとスムーズに移れるようにするためです。
音読には、脳を目覚めさせて集中モードにするという、そんな役割もあるんですね。
文部科学省も音読を推奨
実は、文部科学省も音読の重要性をはっきり示しています。
たとえば、小学校の低・中学年においては
「音読をくり返すことで、読む力や話す力をしっかり育てていくことが大切」
とされています。
これは、単にテストの点数を上げるためではなく、
「ことばを使って考える力」を育てることを目的としているからです。
国語はもちろん、すべての教科で必要になる「読む力」。
この力があることで、授業内容の理解もぐんと深まります。
音読で育つ力は、まさにすべての学びの土台なんですね。
出典:文部科学省 中央教育審議会答申(2008年)
なぜ学校は音読の宿題を出すの?教員として感じていた“ねらい”とは
音読の宿題って、毎日のように出されるわりに、
「なんのためにやっているの?」と疑問に思う方も多いですよね。
実は私自身も、教員として音読の宿題を出していた立場でありながら、
「正直、家庭には負担になるよな…」と感じたことがありました。
それでも、音読の宿題を出し続けていたのには、3つの主な理由があります。
1. 基礎的な力を“習慣として”身につけてほしい
音読は、読む力・聞く力・集中力など、すべての教科につながる「学びの土台づくり」に効果的です。こうした力は、一朝一夕で身につくものではありません。だからこそ、「毎日少しずつでも続けてほしい」という思いがあるんですね。
特別なことをするのではなく、日々の積み重ねで伸ばす力。それが、音読で育てたい力なのです。
2. 子どもの学習に関わるきっかけにしてほしい
音読カードに保護者のサインやコメントを書く学校も多いですよね。
これは「家庭での学習習慣を整えるため」であると同時に、「親が学習に関わるきっかけをつくる」という意味もあると、私は考えていました。
たとえば、「読んでくれたのは、今、国語の授業でやってるの?」という一言から、子どもが今どんなことを学び、何に取り組んでいるのかが見えてくることもあります。
ちょっとした会話をきっかけに、子どもの頑張りや成長を間近で感じられるのが、音読のよさでもあるんです。
3. やるべきことに向き合う力をつけてほしい
「読む力を育てる」「語彙を増やす」などの学習的なねらいに加えて、私が大切にしていたのが、やるべきことにコツコツ向き合う力です。
音読のような“毎日の宿題”に取り組むことは、小さなことのようでいて、**「決められたことをやりきる」**という経験を積むチャンスでもあります。
- 忘れずに提出する
- 限られた時間の中でやりきる
- 決まりを守って取り組む
こうした姿勢は、学校生活だけでなく、将来の社会生活でも求められる大切な力。
「毎日がんばって取り組む」という習慣そのものが、子どもたちの力になっていくと私は考えていました。
読むのが得意かどうかにかかわらず、**「今日もちゃんと読めた」「やりきれた」**という小さな達成感の積み重ねが、子どもの自信につながっていくのです。
音読の宿題をスムーズにするコツ3選|家庭でできる工夫で「やりたくない!」を解消
1. 「音読タイム」を決めて、習慣化する
いつ・どこで音読をするかが決まっていないと、「あとで」「今じゃない」と、つい後回しにしてしまいがちです。
そこでおすすめなのが、「音読タイム」を生活の流れに組み込んでしまうこと。
たとえば、
- おやつの前に読む
- 夕飯の前に読む
- お風呂の前に読む
- 朝、学校に行く前に読む
時間で決めるよりも、行動とセットにするのがコツです。
親としても、夕飯の支度をしながらや、食器を洗いながら聞けたら効率的。
毎日同じ流れで続けることで、音読が“当たり前”の習慣になっていきます。
2. 「交代読み」や「なりきり読み」で楽しさアップ!
「音読なんてやりたくない!」という気持ちが強いと、習慣化するのもひと苦労。
そんなときは、ちょっとした“遊び心”をプラスしてみましょう。
音読は、ただ読むだけだと単調でつまらないと感じてしまうことも。
そこでおすすめなのが、親子で交代しながら読む「交代読み」。
これは、学校でもよく取り入れられている方法で、リズムよく読む練習や集中力を高めるのに効果的です。
1文ごと・段落ごとなど、読むパートを決めて順番に読んでみましょう。
さらに盛り上がるのが「なりきり読み」!
たとえば…
- ロボット風に読む
- お母さん風・先生風に読む
- 応援団風に読む
- ナレーター風に読む
「○○風で読んでみて!」と親がリクエストしたり、子どもが提案したりすると、笑いながら取り組めます。
ちょっとした工夫で、音読が“やらされるもの”から“楽しめるもの”に変わりますよ。
3. 親のリアクションで、もっと読みたくなる!
子どもが音読しているとき、つい無表情で聞いていませんか?
「せっかく読んでるのに、なんだか無反応…」
そんな空気では、子どもの読む気もだんだんしぼんでしまいます。
そこで効果的なのが、ちょっと大げさなくらいのリアクション!
親がうなずいたり、思わずツッコんだりすることで、
子どもは「聞いてくれてる!」とうれしくなり、自然ともっと読みたくなるものです。
たとえば物語文なら…
子:「おばあさんは川へ洗濯に行きました」
親:「えっ、ひとりで?気をつけてー!」
説明文なら…
子:「太陽の光には、ビタミンDをつくる働きがあります」
親:「なるほど、そういうことだったのか~!」
こんなふうに、ほんのひと言リアクションを返すだけで、「ちゃんと伝わってる」という実感が生まれます。
読むことそのものが、少しずつ“楽しい時間”に変わっていきますよ。
毎日の音読が、ちょっと前向きな時間になりますように
音読の宿題は、「ただ読むだけ」ではなく、学びの土台を育てる大切な時間です。
とはいえ、親も子も忙しい毎日。ついイライラしてしまったり、うまくいかない日もあると思います。
そんなときこそ、「無理なく続けられる工夫」や「ちょっとした声かけ」が、音読タイムの雰囲気を大きく変えてくれます。
読むのが苦手な子も、めんどくさがりな子も、「聞いてもらえてうれしい」「できた!」という小さな成功体験を重ねることで、少しずつ前向きに取り組めるようになっていきますよ。
毎日の音読が、親子にとってちょっと楽しい時間、ほっとできる時間になりますように。